白内障

ご家族が白内障だと診断されたら

白内障とは目の中でレンズの役割をする『水晶体』が濁って見えにくくなる病気です。
年齢を重ねると誰にでも起こる老化現象のひとつです。
あなたのご家族もいずれ白内障が現れて生活に不便を感じるようになってくるかもしれません。

またはあなたのお子様が先天性白内障若年性白内障アトピー性白内障など、若い人でも発症する白内障になるかもしれません。

そうした時、家族としてどのように支えていくか、ケアしていくか、気になりますね。
不安にならず、落ち着いてご家族のケアができるよう、ご紹介します。

白内障手術は、極めて安全性が高い手術です

白内障の発症率は、自覚症状がない場合も含め、50代で約50%、60代で70%、70代で約85%、80代ではほぼ100%だと言われています。年齢別白内障発生率の表

もちろん個人差もありますが、自覚症状がない場合だと発症に気づいていない方もおられます。

一度発症すると薬では治らないので、治療は手術で行います。
手術と聞くと怖いイメージを抱かれる方もおられますが、白内障手術は極めて安全性の高い手術だと言われていますので、必要以上に怖がる必要はありません。とてもポピュラーな手術です。

現在は、日帰り手術が一般的で手術時間も15~30分程度と短時間で終わります。
麻酔は点眼式の局所麻酔を使用するので痛みもなく、身体の負担は少なくすみます。

 

気になる付き添いは!?

とはいえ目の手術なので、付き添いが必要なのでは?と気になるところですね。
一般的な白内障の手術では、付き添いは必ずしも必要ではありません。交通機関を使ってお一人で帰られる方もおられます。

ただ、病院が遠方だったり、高齢で心配だという方は、付き添うことでご本人もご家族も安心していただけるでしょう。

 

若年性・先天性の場合は!?

加齢性白内障は見える状態やその他の疾患、ライフスタイルによって、手術のタイミングをじっくり決められますが、若年性・先天性の場合は少し違ってきます。

 

先天白内障

先天白内障とは、先天的な素因によって生まれつき水晶体がにごる病気です。
新生児期に目の中に白い濁りがあることに気づいたら、直ちに眼科を受診してください。
早く発見して手術しないと、重度の視力障害になってしまうこともあります。
ご家族に先天白内障の方がおられる場合は、まずは生まれてすぐに眼の検査をするのが良いでしょう。

手術した後はコンタクトレンズやメガネによる矯正が必要です。また、定期的に検査をして、ご家庭では良い視力を伸ばすために弱視訓練に取り組んでいただきます。

小児期は視機能の発達にとってとても重要な時期です。
ですが、見た目で分かりにくかったり、小さなお子様はものが見えにくくても上手に表現することができないので、なかなか気づくことが難しい側面があります。
信頼できる医師や視能訓練士とともに、大切なお子様の目の健康をサポートしましょう。

先天白内障

 

若年性白内障

若年性白内障とは、まだ若い年齢の内から白内障を発症することを言います。
早い人だと10代20代でも手術をする場合があります。

実は、若年性白内障の原因は明らかにはされていません。
基本的に白内障の多くは加齢性で、老化現象のひとつだと言われていますが、その老化現象を速めるものがあります。それは『活性酸素』というカラダの物質を酸化させる(サビさせる)酸素のことで、老化に深くかかわりがあります。
若い時は増えすぎた活性酸素から身を守る防御システムが備わっていますが、年を重ねるにつれて弱まってきます。

女性だと肌のしわやシミという観点から聞きなれているかもしれませんが、活性酸素は美容だけの問題ではありません。活性酸素が増えすぎると、正常な細胞や遺伝子も攻撃して様々な疾患を引き起こすと言われています。

活性酸素が関与する主な疾患
動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、がん、糖尿病、胃潰瘍、肺炎、脳血管性痴呆症、アルツハイマー型痴呆症、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、白内障、未熟児網膜症など

上記に上がっているように、白内障も活性酸素が一つの原因とされています。

若い人でも、たくさん紫外線を浴びたり、大きなストレスを抱えていたり、お酒やタバコを嗜んだりなど、活性酸素を増加させてしまう生活習慣だと、白内障の発症を速めてしまうかもしれません。

ご家族で生活習慣の見直しからサポートしたり、予防や治療後のケアのために抗酸化力の高い食べ物を用意するのも良いでしょう。

若年性白内障
白内障のセルフチェックリストはこちら

 

監修者 勅使川原 剛|横須賀中央眼科 院長

医学博士 MBA
MD. PhD. MBA. MA (Interpretation & Translation)

略歴

  • 聖路加国際病院外科系レジデント
  • 横浜市立大学医学部附属病院
  • University of California San Francisco (UCSF)
  • University of Bath, UK
  • 横浜市立大学医学部 眼科 臨床教授

所属学会

  • 日本眼科学会
  • 日本臨床眼科学会
  • 日本眼科手術学会
  • 日本白内障屈折矯正学会
  • ARVO (The Association for Rearch in Vision and Ophthalmology)
  • ESCRS ( European Society of Cataract & Refractive Surgeon)