白内障

白内障手術後の注意点と見え方

日帰り手術というと、とても簡単なように感じるかもしれませんが、どんなに短時間で優れた手術でも外科手術に変わりはありません。
手術をした後、特に1週間はとても大切な時期です。

手術後に発生する合併症や、見え方、日常生活で気をつけること、メガネの選び方など、手術後の注意点をご紹介します。

白内障手術後に気をつけること

傷口が完全にふさがっておらず、眼の中にばい菌が入りやすい時期なので、細菌感染を起こさないように気をつけてください。

目を強くこすったり、重い物を持って無理にふんばったりすると、傷口が開いてばい菌が入ってしまうこともありますので、注意しましょう。

また、無意識に眼を触ってしまうこともありますので、出来るだけ手をきれいに洗って清潔を保ちましょう。

 

目薬はきちんと正しくさしましょう

目薬_点眼薬
 

白内障手術後の流れ

手術当日

 

手術翌日

 

術後1週間

 

術後1ヶ月

白内障手術後の流れ・注意点  

白内障手術後の見え方と変化

まぶしく感じる(羞明)

高齢の方が白内障手術を行った場合、ほとんどの方はまぶしいと感じます。
手術前はにごっていた水晶体を通して見ていたのが、手術で急ににごりがとれて大量の光が入るためです。
手術の直後はかなりまぶしく感じますが、時間が経てばしだいに慣れてきます。
まぶしさが続くようであれば医師に相談しましょう。

まぶしい

 

青っぽく見える(青視症)

以前よりも物が少し青っぽく見えます。
手術前は水晶体が黄色味を帯びており、青色の光が目に入りにくくなっていました。眼内レンズにしたことで、手術前よりも青色の光が目に入りやすくなっていることから起こります。
手術後はこのように、色の感覚が少し変化することがあります。
時間が経つと気にならなくなる人がほとんどですが、気になる方は医師に相談しましょう。


コロコロする クシャクシャする

術後、目の状態が安定するまでは異物感を感じやすくなります。
日数の経過とともに安定してきますが、もともとドライアイの方やアレルギーのある方などは点眼薬を追加処方することがあります。


黒いものが飛ぶ(飛蚊症)

飛蚊症_黒いものが飛ぶ

目の前に黒い点や虫のようなものが飛ぶように感じる症状を飛蚊症といいます。
白内障手術後によく見えるようになったことで、かえって黒いものが飛んでいることに気がつくのです。
時間が経つにつれてあまり感じなくなりますが、網膜剥離などの前兆として現れることもありますので、医師の診察を受けるようにしてください。

黒いものが飛ぶ


膜があるように感じる(グレア)

眼に入る光の方向によって、光が眼内レンズのふちに反射して、視界の周辺に三日月形の雲のようなものが見えることがあります。
ほとんどの方が徐々に慣れて気にならなくなります。

 

合併症の心配は?

合併症は0ではありません。
合併症と聞くと急に怖くなってしまうかもしれませんが、白内障手術では危険度の高くない起こりやすい合併症もあります。
安心して手術を受けるために、正しく理解しておきましょう。


後発白内障

術後しばらくしてから、「まぶしい」「目がかすむ」といった症状があり、また白内障になったと感じることがあります。
これは「後発白内障」と言われるもので、手術の時に残しておいた水晶体のふくろ(後嚢)が濁ってくるために起こります。
後発白内障はレーザーを使って濁りを取ることができます。視力はすぐに回復します。入院の必要もありません。

後発白内障


細菌性眼内炎

手術直後は何も問題なく良く見えるようになっていたのに、術後3~7日頃に急に見えにくくなり、強い痛みやひどい充血がある場合、感染症の可能性があります。
決められた注意事項を守って、きちんと点眼治療を行えば、この合併症を起こすことはほとんどありませんが、万が一こじらせた場合は失明する危険があります。
早期に治療する必要がありますので、すぐに受診してください。

 

メガネの選び方

多くの方は、手術前のメガネは合わなくなります。
個人差はありますが、裸眼視力が安定するのは術後1~2か月後といわれています。
その間にもメガネの度数は多少変化するため、手術直後に使用していたメガネは、2~3か月後には合わなくなり、良く見えなくなることがあります。

メガネなしでは日常生活・社会生活に困る場合、作り変える事を納得したうえで、術後早めに適切なメガネを一旦つくり、視力が安定する2~3ヶ月後に微調整した新しい度数のメガネを作り直すとよいでしょう。

メガネ

術後のメガネ選びは、豊富な知識と経験がある眼科や視能訓練士のサポートを受けて作る方が安心です。
必要な方はメガネ合わせの検査をいたしますので、お気軽にお声がけください。

 

監修者 勅使川原 剛|横須賀中央眼科 院長

医学博士 MBA
MD. PhD. MBA. MA (Interpretation & Translation)

略歴

  • 聖路加国際病院外科系レジデント
  • 横浜市立大学医学部附属病院
  • University of California San Francisco (UCSF)
  • University of Bath, UK
  • 横浜市立大学医学部 眼科 臨床教授

所属学会

  • 日本眼科学会
  • 日本臨床眼科学会
  • 日本眼科手術学会
  • 日本白内障屈折矯正学会
  • ARVO (The Association for Rearch in Vision and Ophthalmology)
  • ESCRS ( European Society of Cataract & Refractive Surgeon)