結膜が赤く充血して炎症を起こす病気「結膜炎」
結膜炎とは
結膜は、まぶたの裏側と白目の前面を覆う薄い膜状の組織です。粘液を分泌することで目を潤し、眼球とまぶたをつなぐことで目を動きやすくする役割があります。結膜炎は、結膜が何らかの刺激を受けて炎症を起こす病気です。様々な種類がありますので紹介していきたいと思います。
結膜炎の種類と原因
・ウイルス性結膜炎
ウイルスが引き起こす結膜炎です。接触感染する非常に感染力の強い結膜炎で、「流行り目(はやりめ)」とも呼ばれます。めやに、目の表面の痛み、充血、涙、目の腫れなどの強い症状が特徴的です。
目の奥が痛い場合は他に原因がある場合がありますので、痛みの場所を見極めるのも大切です。
日常生活を共にする家族や、職場の人にも移ってしまうので目を拭き取ったあとのティッシュなどの処分はもちろん、洗顔後に顔を拭いたタオルが他の人に触れないよう、配慮することが大切です。お子様が感染した場合、学校は出席停止扱いになり、成人の方もお仕事の内容によってはお休みしなくてはならない場合もあります。
原因となるウイルス
アデノウイルス・エンテロウイルス・ヘルペスウイルスなど
・細菌性結膜炎
細菌感染による結膜炎です。原因となる菌によりますが、めやには黄色か黄緑色であることが多く、粘性があります。
ウイルス性の結膜炎と違い接触感染はしませんが、耐性のないお子様や免疫力の落ちた年配の方などは移ってしまう可能性もあります。
原因となる細菌
黄色ブドウ球菌・肺炎球菌・インフルエンザ菌・淋菌など
・アレルギー性結膜炎
季節性の花粉や、ダニ、ハウスダストなどによる結膜炎です。原因となる物質に触れないことが一番の予防になるので、眼鏡やマスクを使用するなど自己管理が重要です。また季節性の花粉などで毎年発症するのであれば、花粉が飛び始める前から目薬を使い始めるのも効果的です。めやすは飛散予測の2週間前です。
原因となる物質
スギ・ヒノキ・カモガヤ・ブタクサ・ダニ・ハウスダストなど
・アトピー性結膜炎
アトピー性皮膚炎を治療している人がかかる結膜炎です。アトピーの状態が悪いと結膜炎も悪化することがあり、また結膜炎が発症してそのめやにや涙などがかゆくて、目から顔へ皮膚炎が広がることもあります。アトピー性皮膚炎は経過が長く自己管理が必要なため、治療を自己判断で中止してしまう人も少なくありません。無意識にかいてしまって症状を悪化させないためにも、点眼は継続することが大切です。皮膚の症状によって結膜炎の状態も左右されるので、皮膚科と連携して治療を行うことが必要不可欠です。
監修者 勅使川原 剛|横須賀中央眼科 院長
医学博士 MBA
MD. PhD. MBA. MA (Interpretation & Translation)
略歴
- 聖路加国際病院外科系レジデント
- 横浜市立大学医学部附属病院
- University of California San Francisco (UCSF)
- University of Bath, UK
- 横浜市立大学医学部 眼科 臨床教授
所属学会
- 日本眼科学会
- 日本臨床眼科学会
- 日本眼科手術学会
- 日本白内障屈折矯正学会
- ARVO (The Association for Rearch in Vision and Ophthalmology)
- ESCRS ( European Society of Cataract & Refractive Surgeon)